「アイ・クッド・ライト・ア・ブック」は、リチャード・ロジャーズが作曲し、ロレンツ・ハートが作詞した1940年のミュージカル『Pal Joey』のナンバーである。若き日のジーン・ケリーとレイラ・アーンストが初演で歌った。邦題は「書き残したい私の恋」。
32小節のABAC形式で、キーはCメジャーが標準。ペットショップで偶然出会った男女の会話から生まれる恋の予感を、「あなたについて本が書けるのに」という洒落た比喩で表現した歌詞はハートの真骨頂。和声的にはA各セクションがI-vi-ii-Vのダイアトニックな進行を基調とし、B各セクションではviマイナーから始まる変化に富んだ展開を見せる。明るくスウィンギーなテンポでの演奏が多く、シンプルながら即興の自由度が高い構造を持つ。
マイルス・デイヴィス・クインテットのRelaxin' with the Miles Davis Quintet(1956年録音)でのE♭メジャーによる演奏がジャズ史に残る名演。フランク・シナトラは1952年のスタジオ盤と1957年の映画版で繰り返し取り上げている。