「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」は、モーガン・ルイスが作曲しナンシー・ハミルトンが作詞した楽曲で、1940年のブロードウェイ・レヴュー『トゥー・フォー・ザ・ショウ』で初演された。ベニー・グッドマン楽団による同年の録音で人気に火がつき、ジャズの世界で不動の地位を築いた。
32小節の形式で、キーはGメジャーが標準。最大の特徴は、下行するii-V-Iの連鎖がさまざまなキーを巡る和声進行にある。G→F→E♭→D…とトーナル・センターが順次下降し、ビバップ・ミュージシャンにとって格好のインプロヴィゼーション素材となった。チャーリー・パーカーはこの進行をもとにコントラファクト「オーニソロジー」を作曲し、モダン・ジャズの教科書的存在となっている。テンポはアップ・テンポで演奏されることが多く、セッションではプレイヤーの技量が試される定番曲である。
エラ・フィッツジェラルドのライヴでのスキャット・パフォーマンスは圧巻の一言。1951年のレス・ポール&メリー・フォードの多重録音バージョンは全米1位を9週間維持する大ヒットとなり、ポップスとジャズの橋渡し的存在としても知られる。