「ハニーサックル・ローズ」は、ハーレム・ストライド・ピアノの巨匠ファッツ・ウォーラーが1929年にハーレムのナイトクラブ「コニーズ・イン」のレヴュー『ロード・オブ・コール』のために書いた楽曲である。作詞はアンディ・ラザフが手がけた。
32小節のAABA形式で、キーはFメジャーが標準。Aセクションのメロディはドミナント7thコードのルートと3度を行き来する特徴的なモチーフで始まり、甘くユーモラスな雰囲気を生み出す。I7からIV7へ向かう進行は、ジャズ・ブルースの語法と密接に結びついており、リズム・チェンジ(「アイ・ガット・リズム」進行)と並んでジャム・セッションの定番素材となっている。テンポはミディアム・スウィングが基本だが、アップ・テンポでの白熱した演奏も多い。ジプシー・ジャズのレパートリーとしても広く愛されている。
作曲者ファッツ・ウォーラー自身のピアノ演奏はもちろん必聴。カウント・ベイシー楽団の1937年録音が決定的なビッグバンド版として名高く、ジャンゴ・ラインハルトのギター演奏も広く親しまれている。