「ジプシー」は、イギリスの作曲家・バンドリーダービリー・リードが1945年に書いたバラードである。翌1946年にインク・スポッツの録音が全米チャート1位を獲得し、英国人作曲家として初めて米国チャートの頂点に立った楽曲となった。
楽曲は32小節のAABA形式で、キーはCメジャーが一般的。メロディは穏やかなアルペジオと順次進行を中心に構成され、占い師に恋の行方を尋ねるという物語的な歌詞とあいまって、センチメンタルな雰囲気を醸し出す。コード進行はシンプルながら、Aセクションでのクロマティックな内声の動きが陰影を加えている。バラードとして演奏されることが多く、テンポを落として丁寧にメロディを歌い上げるアプローチが映える。
決定的な録音はインク・スポッツの1946年盤で、ビル・ケニーのテナーとホッピー・ジョーンズの語りが絶妙なコントラストを見せる。ダイナ・ショアも1948年に1位を記録しており、ポップ・ヴォーカルの名演として知られる。