「フロム・ディス・モメント・オン」は、コール・ポーターが1950年に作曲したポピュラー・ソングである。もともとミュージカルOut of This Worldのために書かれたが開幕前にカットされ、のちに1953年のMGM映画Kiss Me Kateで使用されて広く知られるようになった。
形式はAABC・32小節で、オリジナル・キーはA♭メジャー。Aセクションはマイナー・キーの響きを中心に展開し、ポーター特有の洗練されたハーモニーの移り変わりが印象的である。vi(マイナー)を軸とした冒頭から、セクションごとに調性が揺れ動き、Cセクションで解決に向かう構成はドラマティックで、アドリブ素材としても奥が深い。ミディアム・スウィングからアップテンポまで幅広いアプローチが可能な一曲だ。
エラ・フィッツジェラルドがElla Fitzgerald Sings the Cole Porter Songbook(1956年)で披露したバージョンは、この曲のヴォーカル表現の手本として名高い。器楽ではアート・ペッパーのArt Pepper + Eleven – Modern Jazz Classics(1959年)における演奏が、モダン・ジャズ・アレンジの好例として評価されている。