「フォー」は、1954年にトランペット奏者マイルス・デイヴィスの名義で発表されたジャズ・スタンダードである。ただし、アルト・サクソフォン奏者エディ・"クリーンヘッド"・ヴィンソンが真の作曲者であるとの説も根強い。後にジョン・ヘンドリックスが歌詞を書き加え、ヴォーカル・ナンバーとしても演奏されるようになった。
楽曲はE♭メジャーを標準キーとする32小節ABAC形式で、ミディアムからアップ・テンポで演奏される。ハーモニーの大きな特徴は、E♭maj7からE♭m7への移行(第2〜3小節)やA♭maj7からA♭m7への移行(第6〜7小節)に見られるメジャーからマイナーへの半音シフトで、メロディもこの変化をナチュラル7thからフラット7thへの動きで強調している。コード進行は比較的シンプルで即興の自由度が高く、ジャム・セッションの定番曲として広く親しまれている。
初録音は1954年のマイルス・デイヴィス・カルテットによるもので、アルバムBlue Hazeに収録された。デイヴィスはキャリアを通じてこの曲を繰り返し演奏し、テンポを徐々に速めていったことで知られる。ランバート、ヘンドリックス&ロスは1958年のアルバムThe Swingersでデイヴィスのソロにヴォカリーズを付けた名演を残し、キース・ジャレットの2001年ライブ盤My Foolish Heartでの演奏も高い評価を得ている。