「フォー・ヘブンズ・セーク」は、ドン・メイヤー、エリス・ブレットン、シャーマン・エドワーズの3人が共作し、1946年に発表されたバラードである。クロード・ソーンヒル楽団が歌手フラン・ウォーレンのヴォーカルで1948年に初録音を行い、B面には「Anthropology」が収録されるというユニークなカップリングであった。
楽曲はB♭メジャーを標準キーとする32小節のバラード形式で、ゆったりとしたテンポで演奏される。メロディは優しく語りかけるような歌い回しを持ち、「天国のことを夢見ているのだから、恋に落ちよう」という歌詞の甘美な世界観を表現している。コード進行はリッチなハーモニック・ムーヴメントを含み、メジャー7thやマイナー7thのコードが美しく連なる抒情的な楽曲で、ピアノ・トリオやヴォーカルとの親和性が高い。
ビリー・ホリデイが1958年のアルバムLady in Satinで録音したバージョンは、深い感情を湛えた名唱として広く知られる。ピアニストビル・エヴァンスは、ロンドンのロニー・スコッツでの1980年のライブ録音(エディ・ゴメス(b)、ジャック・ディジョネット(ds)との共演)で、この楽曲に繊細で内省的な解釈を与え、ピアノ・トリオによるバラード演奏の模範として高く評価されている。