「ドゥー・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー」は、デューク・エリントンが1940年に作曲したインストゥルメンタル「コンチェルト・フォー・クーティ」を原曲とする。この楽曲はトランペット奏者クーティ・ウィリアムズの独特のグロウル奏法をフィーチャーした名曲で、1942年にボブ・ラッセルが歌詞を付け、現在のタイトルとなった。
形式は32小節のAABA。キーはGメジャー(またはE♭メジャー)が一般的で、ティン・パン・アレーの伝統的な構成に則りながらも、ジャズ的な即興の余地を十分に備えている。Aセクションのメロディはエリントンらしい気品ある旋律で、ゆったりとしたスウィング感の中に洗練されたブルース・フィーリングが漂う。ブリッジでは対照的な和声展開が加わり、楽曲にドラマティックな起伏を与えている。ヴォーカル曲としてもインスト曲としても、エリントン・ナンバーの中でも特に親しまれているスタンダードである。
1943年にエリントン楽団のヴォーカリストアル・ヒブラーが歌唱したヴァージョンが初演で、1944年のレコードはR&Bチャートで8週間1位を記録した。ジャズ・スタンダードとしては、1957年のエラ・フィッツジェラルドによるエリントンとの共演盤Ella Fitzgerald Sings the Duke Ellington Song Bookや、ビリー・ホリデイの1955年の録音が名演として知られる。