「ドナ・リー」は、1947年にチャーリー・パーカー・クインテットの録音で世に出たビバップの代表的なスタンダードである。パーカー名義でクレジットされているが、マイルス・デイヴィスが自伝で自作と主張しており、作曲者の帰属は長年議論の対象となっている。曲名はベーシスト、カーリー・ラッセルの娘にちなむとされる。
キーはA♭メジャー、32小節のABAC形式で、スタンダード「インディアナ(Back Home Again in Indiana)」のコード進行上に新たなメロディを乗せたコントラファクトである。メロディは1小節目の3拍目という異例の位置から始まり、4音グループを基調とした高速のクロマティックなラインが全編を駆け巡る。II-V-Iパターンと半音階的代理和音を多用したハーモニーはビバップの語法を凝縮しており、あらゆる楽器にとって技術的な挑戦となる難曲である。
初録音は1947年5月8日、Savoyレーベルでのセッションで、マイルス・デイヴィス(tp)、バド・パウエル(p)、トミー・ポッター(b)、マックス・ローチ(ds)が参加。また、ジャコ・パストリアスが1976年のデビュー・アルバムJaco Pastoriusでフレットレス・ベースによるメロディ演奏を披露し、ベーシストたちに多大な影響を与えた。