「ドルフィン・ダンス」は、ピアニストハービー・ハンコックが1964年に作曲し、1965年のアルバムMaiden Voyage(Blue Note)で初録音された楽曲である。海をテーマにしたこのコンセプト・アルバムの中で、遊び戯れるイルカの優雅な動きを音楽的に描写している。
本曲はハンコックの作品の中でもとりわけ和声的に複雑な楽曲の一つである。特定のキーに定まらず、絶えずトーナル・センターが移動するため、モーダルとトーナルのハーモニーが交錯する。4小節のイントロで提示される主要動機が、さまざまなキーやリズムで変奏されながら全体を統一する。半音階的なII-V進行、ペダル・ポイント、全音で上行するII-V連鎖(ハンコック自身がフランク・フォスターの「シャイニー・ストッキングス」から着想を得たと語っている)など、高度な和声技法が駆使されている。穏やかな表面の下に豊かな色彩変化が潜む、ハンコックの作曲技法の粋を集めた一曲である。
オリジナル録音のメンバーはフレディ・ハバード(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。Maiden Voyageは1999年にグラミー殿堂入りを果たしている。ハンコック自身は1981年のHerbie Hancock Trioで本曲を再録音した。