「ディドゥント・ウィー」は、アメリカのソングライタージミー・ウェッブが作曲したバラードである。ウェッブは「ウィチタ・ラインマン」「マッカーサー・パーク」などの名曲で知られるポップス界屈指の作曲家で、本曲は1968年にアイルランドの俳優・歌手リチャード・ハリスのデビュー・アルバムA Tramp Shiningに収録され、「マッカーサー・パーク」のB面シングルとしても発表された。
キーはCメジャー。過ぎ去った恋や共に過ごした日々を振り返る内省的な歌詞が、ウェッブらしい洗練されたメロディと結びついている。形式はポップス的なヴァース/コーラス構成だが、和声的には豊かな色彩を持ち、ジャズ・ヴォーカリストにとって格好の素材となっている。穏やかなピアノの伴奏の上で歌われるメロディは、控えめながら深い感情表現を引き出す力を持つ。
フランク・シナトラが1969年のアルバムMy Wayでカヴァーしたことで広く知られるようになった。ジャズ・ヴォーカルの文脈では、トニー・ベネットやマット・モンロー(1973年のアルバムFor the Present収録)による情感豊かな解釈が代表的である。マイケル・ファインスタインのウェッブ作品集Only One Life: The Songs of Jimmy Webb(2003年)にも収録されている。