「デアリー・ビラブド」は、ジェローム・カーンが作曲、ジョニー・マーサーが作詞し、1942年の映画『踊る結婚式(You Were Never Lovelier)』のために書かれたスタンダードである。映画ではフレッド・アステアが歌い、アカデミー最優秀楽曲賞にノミネートされた。
形式は32小節AABA。カーンの旋律は気品に満ちた優美さを持ち、Aセクションでは温かく流れるようなメロディ・ラインが展開される。ブリッジでは和声的な色彩が変化し、穏やかな緊張感を生み出す。バラードからミディアム・テンポまで幅広い解釈が可能で、カーンの巧みな和声書法—自然なメロディの流れの中に効果的な転調やクロマティックな動きを組み込む技術—がジャズ・ミュージシャンにとって魅力的な即興素材を提供している。カーンの代表作「オール・ザ・シングス・ユー・アー」と同様、一見シンプルに聞こえるメロディの中に深い和声的知性が宿っている。
フレッド・アステアの映画での歌唱が最初の代表的な録音である。ジャズの分野ではジョン・コルトレーンのアルバムSun Ship(1965年録音)に同名曲が収録されているほか、トニー・ベネットがビル・チャーラップ・トリオと共演したThe Silver Lining: The Songs of Jerome Kern(2015年)での洗練されたヴォーカル解釈が近年の注目すべきヴァージョンとして知られる。