「Our Delight」は、1946年にビバップの「建築家」と称される作編曲家・ピアニストタッド・ダメロンが作曲したモダン・ジャズの名曲である。テナーサックス奏者デクスター・ゴードンはダメロンをビバップの「ロマンティスト」と呼んだ。
32小節のAABA形式で、キーはAbが標準。ジャグドに上昇するシンコペーテッドなテーマが印象的で、一度聴いたら忘れられない。ダメロンの真骨頂はソロの背後で展開されるアレンジで、コール・アンド・レスポンスやカウンター・メロディが書き込まれ、ビバップの即興性と作編曲の構成美が見事に両立している。コード進行は内部ヴォイシングの変化が豊かで、ドビュッシーやラヴェルに通じる流麗さがある。
オリジナル録音はディジー・ガレスピーのビッグバンドによるもの(1946年)で、ファッツ・ナヴァロの見事なトランペット・ソロが光る。ダメロン自身がリーダーを務めたBlue Note盤での小編成バージョンも、彼の作曲美学を堪能できる名演である。